人体を構成する基本物質「気・血・津液」
「気」は活力、エネルギーであり絶え間なく運動しているもの。
「血」は体を栄養する血液。
「津液」は体の潤い成分。
- 原動力「気」
- 栄養成分「血」
- 潤い成分「津液」
気の役割
気には4つの気があります。
「元気」ゲンキ:生命活動の原動力
「宗気」ソウキ:胸中にあって呼吸、発声、血液を推し動かす
「営気」エイキ:栄養豊富な気
「衛気」エキ :防衛する気
気の働き
推動作用:気・血・津液を推し進める、臓腑の働きを推し進める、生命活動を推し進める働き
温煦作用:臓腑、器官、組織を温めそれぞれの機能を活発にする働き
防衛作用:外界の病邪や環境変化から体を守る働き
固摂作用:大切な正気が体の外に漏れ出るのを防ぐ働き
気化作用:飲食物から気血津液を作ったり、代謝の働き
営養作用:臓腑・器官・組織に栄養を与える働き
気は活発に動く
気が私たちが生きるための原動力であり、生理機能であり常に活発に動いています。
気の運動「昇降出入」
気が入ったり出たり、昇ったり下りたりすることでバランスが保たれています。
これら気の作用は私達が生命を維持していくうえで必要不可欠な基本作用です。
気は生命の源とも言えます。
“病は気から”と言いますが、「気力=生命力・精神力」があれば、外からの影響(邪気)にも強く、少々のことでへこたれることはないでしょう。
気の不足は肉体的、精神的過労や飲食による補充の不足や大汗、失血などによっても引き起こされます。やる気が出ない、動きたくない、ため息が多い、めまいなどの症状が見られます。
これに対して気の停滞は「気滞」となり、なんらかの原因により気が鬱滞している状態です。
頭部や脇や胸、腹部など張った症状が見られます。
血の役割
「血」は血管中を流れる液体で栄養を豊富に含み、全身を巡って体のあらゆる場所に栄養を与え濡養、滋潤させています。
また血は精神活動の基本物質でもあり、精神状態や感情にも関係しています。
血の不足は食事の不摂生、過労や目の酷使、ストレスなどによってももたらされます。
頭痛、めまい、立ちくらみ、顔色が白いまたはくすんで黄色い、疲れ目・ドライアイ、動悸、不眠、手足のしびれ、爪が割れやすい、髪が切れやすい、月経血の減少または月経周期の乱れなど様々な症状が見られます。
現代医学的にに貧血とは言わずとも、中医学的には血の不足ということはとても多いです。
これに対して血の停滞は「瘀血」となり、血液の巡行から漏れ出たもの、なんらかの原因によって停滞蓄積した状態です。
「瘀血」は固定痛・腫塊・暗紫・甲錯という特徴があります。
津液の役割
人体を潤すもの、体内にある正常な水分の総称です。
皮膚や粘膜を潤すもの、関節や筋膜の中にあるもの、体外に排出される水液(涙、汗、涎、鼻水、唾、尿など)も含まれます。
津液には潤い栄養するという役割の他に関節運動をスムーズにする、鎮静させるという役割もあります。
津液の不足は食事の不摂生や発熱や嘔吐、下痢、外界の乾燥などによってもたらされます。
髪の毛、皮膚の乾燥、粘膜の乾燥、乾燥による痒み、耳鳴り、足腰のだるさ、口の渇き、尿量減少、便秘、精力減退、寝汗、不眠など様々の症状が見られます。
不足とは反対に過剰になることもあります。その場合津液ではなく湿や痰などの邪気となって現れます。水分の過剰摂取、水液代謝の低下によりむくみや体の重だるさ、痰のある咳、胸苦しさ、軟便などが見られます。